幼なじみは年の差7歳【完全版】
9、その先にあるもの


――……。


土曜日。

冬馬兄ちゃんとメールでのやり取り以外はしていない。
今日は久々に会って…そして一緒に出かける。

予定は伝えていたけれど、冬馬兄ちゃんの家はまだカーテンが閉まったままで動きがない。
電車で行くから、駅までは歩いて行こうって話してたんだけど…。


「…まだ寝てるのかな」


冬馬兄ちゃんの家へと向かい、チャイムを鳴らす。
…けど、反応は無い。

ドアに触れた時、鍵が開いていることに気付く。


「…冬馬兄ちゃーん?
そろそろ、出かける時間だよー…?」


薄暗い家の中。ゆっくりと、中へと進む。


「…冬馬兄ちゃん?」


リビングに入ってすぐ、冬馬兄ちゃんを見つける。
ワイシャツのままソファーに横になってる冬馬兄ちゃん。


「冬馬兄ちゃん、そろそろ出かけるよ?」

「ん…」


体を揺するとようやく目を開けた。
ボーっとしたまま私を見つめ、それから小さく言う。


「…今何時?」

「ん、もうすぐ7時半」

「あー…ヤバい、寝過ごした。
シャワー行くから少し待ってて」


髪の毛をグシャグシャっとした後、もう一度私を見た。


「すぐ準備する」


そう笑った冬馬兄ちゃんは、手を振ってリビングを出て行った。
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