幼なじみは年の差7歳【完全版】
静かな部屋。
遠くではシャワーの音がする。
何度も来ている家なのに、今日はなんだか落ち着かない。
冬馬兄ちゃんがシャワーを浴びているから?
久々に会って緊張しているから?
それとも、やっぱりまだ「過去」が気になるから…?
…よくわからないけれど、なんだかいつも以上にドキドキしている。
――水の音が、止まる。
それから数分して、私服を着た冬馬兄ちゃんが戻ってきた。
「さて、行こうか」
「あ…うん」
いつもの冬馬兄ちゃん。
寝起きの、まだ眠たそうな顔はもう無い。
リビングを抜け、玄関で靴を履いた時…冬馬兄ちゃんが私の手を引いた。
「キスしていい?」
「えっ…あ…」
…答える暇もなく、あっさりと唇を奪われてしまった。
「外じゃ出来ないだろ?」
意地悪そうに笑う冬馬兄ちゃん。
私、多分顔真っ赤…。
上手く返事が出来ないまま、外に出る。
とにかく…麻実ちゃんたちと会うまでには気持ちを落ち着かせなきゃ。
早歩きする私の2歩後ろをぴったり歩く冬馬兄ちゃん。
後ろから冬馬兄ちゃんの視線を感じる…。
「…あ、二人とも来てるよ!」
その視線から抜け出したのは、駅前で待つ麻実ちゃんたちを見つけた時だ。
二人が私たちを見つけて手を振る。