幼なじみは年の差7歳【完全版】
……。
昼食を食べ終えた後、コーヒーを飲みながら冬馬兄ちゃんは少し疲れたように笑う。
「実はさ、木曜日に上司が週末も出てくれって言ったんだ。休み確定のはずだったのにさ。
月末は何かと忙しいってのはわかってるし、もう慣れたけど…美和と約束しただろ?
だから昨日は頑張った」
ガッカリさせたくないから、と言葉を続けた。
冬馬兄ちゃん、本当は仕事の予定だったんだ。
だけど私の為に、時間を作ってくれた…。
だから今日の朝、リビングで寝てたんだ。
仕事から帰ってきたのが何時かはわからない。その帰ってきた格好のまま眠ってしまったんだ。
「…ごめんね、無理させちゃって」
私、何も知らないまま今日を迎えていたんだ。
「いいんだよ。土日は絶対休むつもりだったんだから。
ただ、ちょっと言いたくなっただけ。て言うか頑張ったから誉められたいのかも」
どこか恥ずかしそうに笑う冬馬兄ちゃんはなんだか甘えたような顔。
今まで見たことの無い顔に胸がきゅんとなる。
「で、頑張ったご褒美は?」
相変わらず甘えた顔の冬馬兄ちゃん。
少し考えた後、冬馬兄ちゃんの頭を優しく撫でてみた。
いつもは私が頭を撫でられているのに、今日はその逆。
今日、初めて冬馬兄ちゃんの頭を撫でたかもしれない。
「………」
…なんだか私の方が恥ずかしい。
ドキドキが止まらなくて、顔は赤くなってると思う。
冬馬兄ちゃんは何も言わないから…数秒間無言が続いた。
「…やっぱり」
「えっ?」
「やっぱり撫でるのは、俺の役目にしとこう…と思った」
言葉と同時に私の手を頭から退けて、もう片方の手で私の髪をクシャクシャっとした。