幼なじみは年の差7歳【完全版】
……。
やっぱりどこも待ち時間は長くて、冬馬兄ちゃんは疲れたようにベンチに座った。
「そろそろ休憩しませんか、お嬢さん」
日が暮れ始めてきた園内。
まだまだ人が多いのはこの後打ち上げられる花火が理由だ。
「大丈夫?ごめんね、ちょっとはしゃぎ過ぎちゃったかな…」
冬馬兄ちゃんが疲れて帰ってきて、あんまり寝てないって知ってるのに…連れ回しちゃった。
それでも冬馬兄ちゃんは笑ってくれる。
「俺も楽しかったからいいんだよ。
花火、見て帰る?」
「んー…見たいけど、遅くなっちゃうよ」
花火を見て、途中で帰ったとしても家に着く時間はかなり遅くなる。
そろそろ家に帰った方がいい。と、わかってる。
「じゃあアレに乗ったら終わりにしようか」
指差す方向に、大きな観覧車がある。
「前に乗った時、凄く怖がってた」
「えー?そうだっけ?」
「そうだよ、泣きそうな顔で俺を見てたもん」
全然覚えていないけど、冬馬兄ちゃんが言うならそうなのかもしれない。
立ち上がった冬馬兄ちゃんは私の手を握り、優しい笑顔を見せた。
観覧車の下まで行くと、やっぱり混んでいる。夕焼けが綺麗に見える時間だから余計混んでいるみたい。
だけど、それでもその列に並び、手を繋いだまま冬馬兄ちゃんは私を見る。
「乗ったらさ、ちょっと話したいことがある」
そう言って、今まで以上に手を強く握った。