幼なじみは年の差7歳【完全版】
…話したいこと?
それって…。
…まさか、「やっぱり付き合うことは出来ない」とか…?
逆に、「結婚しよう!」ってプロポーズ?
…まさかね。
わからないまま列は進んでいき、ようやく順番が来た時には太陽はほとんど見えなくなっていた。
「長かったねー」
平然を装いながら声をかけるけど、冬馬兄ちゃんは微笑むだけだった。
…いきなり、沈黙だ。
それから少しして、ようやく冬馬兄ちゃんが話し出す。
「あのね、凄く大切な話。
実は俺…」
真っ直ぐに私を見て、そして――、
頭を下げた。
「…誕生日プレゼント買い忘れた。ほんっとにごめん」
大切な話。
それは、予想してたこととは全く別の話だった。
「…なんだ、そんなことか…」
「“そんなこと”じゃないって。
今まで忘れたことなんて無かったのに、付き合った年のプレゼント忘れるなんて最悪じゃん」
…別れ話じゃなくて安心したけど、なんだか拍子抜けしてしまった。
真面目な顔してる冬馬兄ちゃんに、ため息をついた後に言う。
「あのね、実は私もまだ冬馬兄ちゃんの誕生日プレゼント買ってない」
「え?あ…そう…?」
ちょっと残念そうな、少しホッとしたような顔。
「…プレゼントが無くても冬馬兄ちゃんが居てくれればそれでいいよ?」
そう笑ってみせると、冬馬兄ちゃんは少し考えた後に笑った。
「明日、一緒にどこか行こうか。
で、何か欲しい物があれば俺が出す。一応、プレゼントはしたいからさ」
「あ、じゃあ大型テレビとか」
「それは却下」
…なーんて、馬鹿みたいなことで笑い合う私たち。
でも、そんな時間が心地良かった。
「…ねぇ、明日私も何かプレゼントしたいな。
いいでしょ?もうすぐ冬馬兄ちゃんだって誕生日だもん」
「ん?…まぁ、何か良いのがあればね」
話しているうちに観覧車は一周し終え、私たちの遊園地デートは終わった。