幼なじみは年の差7歳【完全版】
【麻実side】
――……。
遊園地開園直後。
突然、良明に手を引かれて建物の隅へとやってきた。
「…ちょっと、何?」
「いいから黙って。
二人きりにしてやろうよ、冬馬さんたちをさ」
良明はそう言って、向こう側に居る冬馬さんにジェスチャーで何かを伝えた。
美和はそれに気付いていないけど、冬馬さんは笑って、それから二人で人混みの中へと消えていった。
「…みんなでって言ったけど、初めからそれが目的だったわけね」
誰かが何かをしなきゃ冬馬さんと美和が遊園地に来ることはない。
だから良明は行動したんだ。
「何かキッカケが無いとあの二人ずっとギクシャクしたまんまになるだろ?」
笑う良明は私の手を握り直し、それから二人が言った方向とは別の方向に歩き出す。
「それにさ、俺とお前、二人でどっか行くって行ったじゃん?
だから今日は俺らも二人で楽しもうよ」
旅館でした約束。二人でどこかに行こうと言っていた良明。
今日がその約束を果たす日…。
「…まぁ、はしゃぎ過ぎないようにね」
いつもと同じを装うけれど、鼓動は速くなっていく。