幼なじみは年の差7歳【完全版】
…だけど、数時間後の私は小さなため息をついていた。
楽しもうと言ったはずの良明が、居なくなっていたのだ。
「…あの馬鹿、どこ行ったのよ…」
良明がトイレに行くと言ったから、私もトイレに行って、化粧を少し直してから出たら…メールが届いた。
【 その辺のベンチに座っといて 】
…ってメールが来てから、既に20分。
姿は見えないし、電話をしても出ない。
「…まさか迷子になってたり…しないよね…」
さすがにちょっと心配になってきた。
「あの、すいません」
そんな時、後ろから話しかけられた。
どこかで聞いた、声…。
その人の顔を見た時、思い出す。
「あれ?いや…でも声…麻実、だよね?
俺のこと覚えてる?」
…その人は、思い出したくない記憶の中に居る人…真壁 良宏(マカベ ヨシヒロ)。
「…良宏くん…」
そう言わなければきっと、「私」だと気付かれなかったはず…。