幼なじみは年の差7歳【完全版】
「ちょっ…こいつの過去聞いても何も思わないの?」
「別に?で、あんたが麻実の過去を話してなんの意味があるの?」
真っ正面に向き合った二人が、睨み合ったままそこに居る。
ううん、違う…睨んでいるのは彼だけで…良明は無表情。
「…あーあーあー馬鹿じゃねーの。
あんたさ、こんな外見だけの地味女のどこが良いわけ?
あ、類は友を呼ぶってやつか?あんたも地味ーな眼鏡野郎だもんね。
もう地味同士勝手にやってれば」
…彼の本心。みんなが知らない、裏の顔。
冷酷で、私をただ性処理機として利用していた男。
「俺と来ればまた抱いてやったのに」
そんな言葉を残して彼は離れた。
それから、遠くで友達と笑い合う。優しい、愛されてる男の顔で。
その後、もう一度私たちを見た彼は、勝ち誇ったかのような顔で去っていった。
「…上から目線うぜぇ」
呟いた良明は眼鏡を外し、ベンチに座った後にため息をついた。
その後、思い出したかのように私を見て立ち上がる。
「ごめん、ちょっと知り合いに会ったから向こうで少し話してたんだ。
一人にして悪かった」
眼鏡を外したその顔は、凄く優しい顔だった。
私の髪を撫でる手も、凄く優しかった。
「…楽しもうって言ったのは、あんたじゃん」
涙を堪えながら、良明の服を強く掴む。
…もう、遊園地には居たくなかった。
彼と同じ場所には居たくない…。
「…そんな顔するなよ」
言葉を放った良明は、悲しそうな顔をして目を逸らした。