幼なじみは年の差7歳【完全版】
「美和ちゃんに言ったじゃん、発想の転換って。
それってさ、美和ちゃんにだけ言ったんじゃなくて実はお前にも言ってたんだよ、知ってた?
…あいつに出会ってなかったらお前は今でも目立たない奴だったかもしれんだろ?
今のお前が居るのは、あいつのおかげって思っとけよ」
…発想の、転換。
あの時ファミレスで良明が美和に言った言葉は、私にも向けられていた…。
…そうだ。そうだよ、私は…彼が居たから変わったんだ。
もうあんなことにはなりたくなかった。あんな自分を捨てたかった。
だから変わったんだ。
「…あいつとまた会う日があるかもしれない。その時あいつは、また過去を話すと思う。
だけどさ、お前はもう今のお前じゃん。
いつまでも過去にすがりついてる奴なんて今度はこっちが見下してやれよ」
電車の到着と共に言い切った顔はやっぱり笑顔で、やっぱり優しく私を見てる。
…良明って、やっぱり凄い。
「…ありがとね」
良明の言葉が私を包み込んでくれる。
少し前までは知らなかった良明の優しさ、ぬくもり。
それを感じながら電車に乗り込んだ。