幼なじみは年の差7歳【完全版】
「本当は今すぐ拒否にしたいけど、同じ学校で向こうの方が先輩だろ?
だから、美和に何かあったら困るから今はメールを返す。
俺の考え、わかってくれる?」
…私の為に、冬馬兄ちゃんはメールを返すんだ。
私はあの人と同じ学校に通って授業を受けるけど、その間冬馬兄ちゃんは仕事で傍には居ない。
“何か”があっても、すぐには会えない…。
だから丁寧にあの人へ説明すると言ったんだ。
「…ありがとね」
「いや、俺が判断してアドレス交換したから俺のせいだよ。
それに…いくら説明してもわかってもらえないかもしれない。
その時は美和にツラい思いをさせてしまうかもしれないから…ごめんね」
「…ううん。学校には麻実ちゃんも良明くんも居るから、きっと大丈夫だよ」
その時、ふと良明くんの部屋にあった写真立てを思い出した。
仲間たちと撮った写真。
みんながはしゃいで笑ってる写真の中…一人だけ微笑みを浮かべている人が居た。
「…思い出した。
あの人、良明くんの知り合い…一緒に写真に写ってた人だ」
「え?写真?」
「うん。良明くんの部屋で、写真を見たの」
あの人だ。
一人だけみんなとは違う感じで立ってたから頭に残ってたんだ。
「どういう人なのか良明くんに聞いてみよっか」
冬馬兄ちゃんからあの人の名前を聞き、良明くんへとメールを送る。
あの人の名前は、
九条 愛子(クジョウ アイコ)。