幼なじみは年の差7歳【完全版】
……。
何か、嫌な感じがした。
多分それは、良明くんのメールを見ていない冬馬兄ちゃんも感じてる。
「…学校では麻実と離れないようにしていてね」
「ん…気をつける」
一人にならない方がいい。それを、冬馬兄ちゃんも私も感じていた。
…楽しかったその日。
本当はまだまだ楽しいのが続くはずだった。
だけどファミレスを出た私たちは、そのまま家に戻ることにした。
無言のまま家に着き、車庫入れを済ませる。
「一応、麻実には俺から連絡しておく」
「うん。なんかごめんね」
「…美和が謝ることじゃないよ」
いつもと同じ、優しい冬馬兄ちゃんが私の頭を撫でる。
「美和はさ、謝るのが癖になってる。
何も悪くないんだから、謝らなくていいんだよ」
「…ん」
苦笑気味に笑う私に、冬馬兄ちゃんはシートベルトを外した後にキスをした。
「ウチで少し話そうか」
…甘くてとろけそうなキス。
そのまま、耳元へと舌を這わせる。
「…くすぐったい、よ」
初めてされるコトに体が緊張する。
だけど、嫌な感じはしなかった。
「触れてる俺は気持ちいいんだけどね」
いたずらっぽく笑う冬馬兄ちゃんは首へと舌を移動していく。
「美和を見てると、いつも我慢出来なくなる。
でも我慢するって言ったから。
だからね、もう我慢しなくていいんだって時になったら、
お前をめちゃくちゃに愛したい」
冬馬兄ちゃんは呼吸を整えるようにしながら笑う。
それから、私に家の鍵を渡す。
「一服してから行く。
適当に何か飲んでて」
「あ…うん…」
ドキドキが止まらない。
本当はもっと、冬馬兄ちゃんに触れられていたかった。
(私って、エッチなのかな…)
…その日、“何か”があるかもしれないと考えていたけれど…「我慢する」と言った冬馬兄ちゃんはいつもと同じように私を見て笑うだけだった。