幼なじみは年の差7歳【完全版】
「…あいつから聞いてるだろうけど、」
良明くんは言って窓の外を見た。
まだまだ暑い外ではセミが鳴いている。
「俺、あいつを傷つけたんだよね、きっと。
じゃなきゃあいつが泣いたりしないだろ」
…麻実ちゃん、良明くんの前で泣いたんだ…。
良明くんが好きで、でも伝わらないって確信して、それで涙が止められなくなったんだ。
中学の時の私と同じ…冬馬兄ちゃんとは幼なじみ以上にはなれないってわかった時と、きっと同じ涙。
「…私が言うべきことでは無いけれど、言うね。
麻実ちゃんは、良明くんのことが好きなんだよ」
「…あいつが、俺を?」
「うん。それは友達として好きってことじゃなくて、それ以上に好きなんだよ」
だけどそれが言えなくて、凄く苦しんでいたはず。
「…あのね、“好きになってもらえるよう努力する”って言われたから好きになった。って思われることが嫌だったみたい。
だから自分の気持ちが言えなかったんだよ」
…そして「好き」を隠していた麻実ちゃんが聞いたのは良明くんの本音。
友達以上には見られないとわかったから、余計自分の気持ちを隠して…そして涙が出た。
「…俺、あいつの涙なんか見たくなかった。
あいつにはずっと笑顔で居てほしかった。
でもあいつをそんな顔にしたのは、紛れもなく俺なんだよね…」
ツラそうな顔が、悲しそうな顔に変わる。
そして良明くんは、髪の毛をぐしゃぐしゃっとして机に突っ伏した。
「あーもう、ダメだ。
俺、あいつの泣いた顔ばっかり頭に浮かぶんだよ…ずっとずっとあいつのことばっかり考えてるんだ。
どうすれば笑顔になるかを考えてて、浮かんだそれを実行しようと思ってるのに上手く行かない。
今までこんなこと無かったのに、あいつを見ると凄く緊張して、心臓が締め付けられるんだよ…」
突っ伏したままの良明くんはどこか泣きそうな声で言葉を続けた。
「…もうあんな顔見たくないし、させたくない。
だけどどうすりゃいい?
あいつを前にすると胸が苦しくて、上手く喋れなくなるんだよ」
多分、それは――。
「良明くんは、麻実ちゃんのことが好きなんだね」