幼なじみは年の差7歳【完全版】


友達として以上にきっと、良明くんは麻実ちゃんを必要としているんだ。


「…そうかもしれない」

顔を上げた良明くんは深く息を吸い、ゆっくりと吐く。


「だけどさ、あいつ怒るよ絶対…。
俺、“今以上にお前を求めたいとも思わない”なんて言っちゃったし…」

「あー…それはちょっと…ううん、かなり傷つくかも」

「だよね…。
それに、泣き顔見たら前より気になったなんて…俺最悪じゃん」


あからさまに肩を落とす良明くん。
もう一度ため息をついた後、ドアを指差した。


「…とりあえず帰ろっか。
いつまでもここに居ても仕方ないし」

「そう…だね」


重い空気のまま歩き出し、良明くんは言った。


「あいつの気持ち、教えてくれてありがとね」

「…ううん、余計なお世話しちゃってごめん。
話したのがバレたら麻実ちゃん怒るだろうな…」


苦笑気味に笑う私を見て、良明くんもなんとか笑う。


「…麻実ちゃんにちゃんと伝えた方がいいと思う。
麻実ちゃんはもう、良明くんのことを想わないつもりみたいだから…」

「ん…」


どちらも私にとっては大切な友達。
だから、二人には幸せになってもらいたい。
お互いがお互いを好きなのに、すれ違ったまま生きていくなんて凄く悲しいこと…。

だから、


「何も知らないまま生活していくなんて、悲しいよ」


麻実ちゃんとちゃんと向き合ってほしい。
そうしなきゃずっと、二人は違う道を行ってしまう。


「…わかってるよ、ちゃんとわかってる」


良明くんは私の頭を少しだけ撫でて、そして手を下ろした。
< 212 / 278 >

この作品をシェア

pagetop