幼なじみは年の差7歳【完全版】
友達として以上にきっと、良明くんは麻実ちゃんを必要としているんだ。
「…そうかもしれない」
顔を上げた良明くんは深く息を吸い、ゆっくりと吐く。
「だけどさ、あいつ怒るよ絶対…。
俺、“今以上にお前を求めたいとも思わない”なんて言っちゃったし…」
「あー…それはちょっと…ううん、かなり傷つくかも」
「だよね…。
それに、泣き顔見たら前より気になったなんて…俺最悪じゃん」
あからさまに肩を落とす良明くん。
もう一度ため息をついた後、ドアを指差した。
「…とりあえず帰ろっか。
いつまでもここに居ても仕方ないし」
「そう…だね」
重い空気のまま歩き出し、良明くんは言った。
「あいつの気持ち、教えてくれてありがとね」
「…ううん、余計なお世話しちゃってごめん。
話したのがバレたら麻実ちゃん怒るだろうな…」
苦笑気味に笑う私を見て、良明くんもなんとか笑う。
「…麻実ちゃんにちゃんと伝えた方がいいと思う。
麻実ちゃんはもう、良明くんのことを想わないつもりみたいだから…」
「ん…」
どちらも私にとっては大切な友達。
だから、二人には幸せになってもらいたい。
お互いがお互いを好きなのに、すれ違ったまま生きていくなんて凄く悲しいこと…。
だから、
「何も知らないまま生活していくなんて、悲しいよ」
麻実ちゃんとちゃんと向き合ってほしい。
そうしなきゃずっと、二人は違う道を行ってしまう。
「…わかってるよ、ちゃんとわかってる」
良明くんは私の頭を少しだけ撫でて、そして手を下ろした。