幼なじみは年の差7歳【完全版】
「美和」
「冬馬兄ちゃん…ごめんね…私…ごめんなさい…」
「…いいんだよ」
泣きじゃくる美和を抱き締め、それから彼女を見た。
…良明くんの腕の中、力無く寄りかかる彼女の目に光は無い。
ただどこか一点を見つめ、口元だけが微かに笑っている。
(…これからどうする?)
彼女から良明くんに視線を移した時、良明くんがポケットから携帯を取り出した。
「知り合いに警察官が居るんです。
管轄は違うけど、力になってくれると思う」
…警察。
やはり警察に話すべきか?
良明くんは明らかな怪我を追っているし、美和は拉致…。
それに、彼女は美和を殺すつもりでナイフを振り上げた。
良明くんが来ていなかったら…確実に美和は殺(や)られていた。
「…冬馬兄ちゃん」
黙ったままの俺に、美和が言う。
「警察には言わないでほしい。
九条さんのこと…許してほしいの」
美和は、それで納得するのか?