幼なじみは年の差7歳【完全版】
「先輩、学校辞めるって。
親の都合ってことになってるけど、アレが理由なのは間違いないと思う」
…九条さんが、学校を辞める。
返事に迷いながらも、「うん」とだけ言葉を返した。
「マンションも引き払って、これからは親と一緒に住むらしい。
その後、どうなるのかはわからないけどね」
「…まずさ、高校生を一人で住まわせるってのが私からしたら凄いことなんだけど。
寮とかなら別だけど…親は何も言わないでマンションを買い与えたってことだよね」
良明くんの話に、麻実ちゃんがどこか呆れたように言う。
でも、確かに凄いことだよね。
私なんか「一人暮らしする」って言いきる前に反対されそう…。
「金持ちのすることはわからないね…広い部屋とかは、羨ましいけどさ」
苦笑気味に笑う麻実ちゃんが立ち上がる。
「今日、ちょっと寄るとこあるから先に帰るね」
そう言いながらカバンから本を出した。
学校の図書室には置いてないような難しい本…ううん、私には難しいだけで麻実ちゃんにとったら普通レベルの本なのかもしれない。
それを返しに、図書館へ行くんだとわかる。
「一緒に行こうか?」
優しい笑顔で良明くんが言う。
麻実ちゃんは何も言わなかったけど、良明くんは後ろをついて行く。
「美和ちゃんごめん、先に行く。
あ、一応人通りの多い道を通って帰るようにしてね」
ドアのところでそう言い、行ってしまった。