幼なじみは年の差7歳【完全版】
…そこは普段使わない部屋で、人の出入りもここ数年は無かったみたいだから見事に埃まみれ。
紺のソックスは白っぽく変わり、制服から着替えたばかりの服もあちこちに埃がついてしまった。
「最悪…」
こんなことしなきゃ良かった。
と、埃をパンパンっとはらっていた時。
…勢いよくドアが開き、目が合った。
「…何やってんだよ、美和」
「あ…お帰りな、さい…」
ボタンの外されたYシャツ姿で驚いた顔の冬馬兄ちゃん。
その下半身は、下着姿…。
私が部屋に入るのとほとんど同時に冬馬兄ちゃんは帰宅。
服を着替えていた途中に物音を聞いてやって来たらしい…。
お母さんに気付かれないようにと気を張り詰めていた私は、車の音にも玄関を開ける音にも気付かなかった。
「…とりあえずシャワー浴びな?」
「はい…」
怒られるかと思ったけど、冬馬兄ちゃんはため息をついただけだった。
それはそれで、なんか悲しいけれど…。
冬馬兄ちゃんの家でシャワーを浴びて、服はそのまま洗濯機行き。
お風呂場から出ると、別の服が用意されていた。
「おばさんに説明して、別の服もらってきた」
ドアを挟んだ向こう側に居る冬馬兄ちゃんが声をかける。
その声は少し呆れている感じがした。
「ごめんね…変なことして」
「まったく…幼なじみだとしても立派な不法侵入だよ?」
「うん…ごめんなさい」
急いで服を着て、ドアを出ると…冬馬兄ちゃんは既に着替え終わっていて、やっぱり呆れた顔してた。
「おかげで美和に間抜けな姿を見せてしまった」
そう笑いながら私の頭を撫でて、部屋へと戻っていく。
私もその後に続いて歩き、ソファーに座った。
「で、何か話でもあった?」
「あ…うん。あのね、九条さんのこと」
良明くんから聞いた話を、ゆっくりと話していく。