幼なじみは年の差7歳【完全版】


…九条さんが学校を辞めてしまうと聞いて、少し複雑だった。

私のせいで学校を辞めてしまう。という、やりきれない思い。
そして、学校を辞めると聞いてどこか安心した自分…。


「…なんだか頭の中がゴチャゴチャしちゃって」


…冬馬兄ちゃんに本音を隠しながら笑ってみせる。


「あまり深く考えることないよ。
九条さんは九条さんの道を進むだけ。
そして俺たちも、俺たちの道を行くだけだよ」


ポンッと私の頭に手を置いた冬馬兄ちゃんが、小さく言う。


「もし俺が遠くへ行ったら、美和はどうする?」


…冬馬兄ちゃんが、遠くへ…?


「俺さ、他県へ転勤しなきゃいけないんだ」


え…転勤…――?


「…私の、せい…?」

「違うよ、アレは関係ない。
前々から出てた話なんだ」


タバコに火をつけるその顔は、少し寂しそうだった。


「今すぐってわけじゃないんだよ。
まだこっちでの仕事があるし、引き継ぎもしなきゃいけない。
向こうに移るのは来年4月」

「…そう、なんだ」


…来年、冬馬兄ちゃんはこの家から居なくなる。
私たちは、どうなるの…?


「美和はどうしたい?」


どうしたい、って…そんなのわかんないよ…。
私は冬馬兄ちゃんの傍に居たいけど…でも一緒に行くなんて無理な話だし、「遠くへ行かないで」なんて言っても、それだって無理な話…。


「俺と離れた方が楽なんじゃないかな?
美和はまだ若いし、良い出逢いがきっとあると思う」


つまり、それは――。


「別れようって、こと…?」


私たちは、もう一緒に居られないの…?
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