幼なじみは年の差7歳【完全版】
………。
冬馬兄ちゃんは、それでいいの…?
「私は、冬馬兄ちゃんが好きだよ…」
「知ってる」
なら、どうして。
離れた方が楽とか言うの…?
「向こうに行ったら4、5年は戻れない。
美和に寂しい思いをさせたくないんだよ」
…私は、
それでも冬馬兄ちゃんと別れるなんて嫌だよ…。
隣で笑い合うことが出来なくても、電話やメールがある。
遠くに居ても一緒に笑い合うことは出来るはずだよ、絶対に。
「…ごめんな」
私の頭を撫でる手は、いつもと同じように優しい。
いつもと同じ、温かい手。
私を包み込んでくれる優しい手。
……。
今、私が出来るのは何――?
「…ねぇ、最後まで一緒に居てほしい」
…冬馬兄ちゃんが行ってしまうその日まで、“彼女”として隣に居たい。
今、私が出せる言葉はそれだけだった。
「冬馬兄ちゃんを笑顔で見送りたい。
だから、隣に居てほしい」
精一杯作った笑顔。
冬馬兄ちゃんはそんな私の顔を見つめ、優しくキスをしてくれた。
「俺は…美和のことが、好きだ」
言葉と同時に私を抱き締めた冬馬兄ちゃんは、少し震えていた。
…乱れる呼吸と鼻をすする音でわかる。
冬馬兄ちゃんが、泣いている。
私に見せないようにと必死に隠してきた弱さ。
それを、知る。
「ずっと美和と居たいよ。
だけどどうすればいい?
俺は、どうすればいい…?」
…言葉が見つからない。
私は、無力…。