幼なじみは年の差7歳【完全版】
【良明side】
――……。
麻実と図書館へ向かって歩いている。
…けれど、会話なんて無い。
3歩先を麻実が歩き、俺はただその姿を見つめるだけ。
歩調は常に同じで、近づくことも離れることも無い。
(何か話した方がいいんだよな…多分)
だけど何を話せばいい?
「なんか、気持ち悪い」
「えっ?」
「足音かぶってる。ストーカーみたいで気持ち悪いよ?
一緒に来るなら隣に来ればいいのに」
…それもそう、だよな。
躊躇したけれど隣に並ぶ。そうすると、麻実は満足そうな顔で笑った。
「あのね。図書館に用があったのは事実だけど、別に今日じゃなくても良かったんだ。
でもなんとなく…良明と二人で話せるかなぁと思って」
「…ん。だから来た」
…多分そうじゃないかと思った。
いや、俺も麻実と話したかったから来たんだ。
「…色々話したかった」
気持ちをちゃんと伝えよう。
だから俺はここに居る。