幼なじみは年の差7歳【完全版】
…こんな日にワガママなんて言いたくない。
今更「別れないで」なんて言えない。
“別れ”を決めたのは紛れもなく私…そして冬馬兄ちゃん。
「掃除代は時給3万円ね」
「…せめて日給にしとけ」
…今私たちが笑い合えるのは、“別れ”を受け入れたから…だからもう、ワガママなんて言わない。
「3年生になって、色々大変だと思うけど…お願いね」
「うん」
…その日、冬馬兄ちゃんが私に触れることは無かった。
私もまた、冬馬兄ちゃんに触れることはしなかった。
お互いのぬくもりを感じてしまったら、離れられなくなる。
きっと、そう思ったから…。
「じゃあ、行ってくる」
車に乗り込んだ冬馬兄ちゃんは私を見つめて微笑む。
「行ってらっしゃい」
私も笑顔を見せ、手を振って静かに見送った。