幼なじみは年の差7歳【完全版】
…冬馬兄ちゃんはずっと私を想っていてくれた。
私もずっと――。
(冬馬兄ちゃんが好き)
……。
何度も深呼吸をしながら、冬馬兄ちゃんの家へと戻る。
ずっと会いたかった人が、ドアの向こうに居る…。
今度は躊躇せずにチャイムを鳴らす。
ガチャリ、と開くドア。
まるでスローモーションのように動くその空間で、冬馬兄ちゃんと目が合った。
「美和」
ふんわりと柔らかい笑顔。
何も変わらない笑顔。
「あの…お父さんに、会った」
「親父?つまみ買いに行くって出たけど…会ったんだ?」
「あの、ね…外でご飯食べてくるって。
帰りは多分、遅くなる…と思う」
平静を装って話すけど、多分私の顔は真っ赤になってる…。
だけど冬馬兄ちゃんは何も言わず私を中へと促す。
「二人分のご飯があるんだけど、親父が戻らないなら一緒に食べようか」
テーブルには、炊き立てのご飯と具だくさんの味噌汁、そしてパックから移し替えたと思われるトンカツと唐揚げが並んでいる。
「それとも先に話そうか?」
耳元で言う冬馬兄ちゃんは、そのまま私の頬にキスをした。
ドキドキと、心臓が鳴る。