幼なじみは年の差7歳【完全版】


「美和、付き合ってる人は居る?」

「ん…居ない、よ」

「そっか。俺も居ない」


どこか嬉しそうな顔。
そのまま私の手を引いて、ソファーに座らせる。


「来年はこっちに戻れる。
その後もずっと一緒に居られる」


まるで、お姫様の前にひざまずく王子様…。
私はお姫様なんかじゃないけれど、冬馬兄ちゃんは私の前にひざまずき、そっと、小さな箱を取り出した。


「結婚しよう」


冬馬兄ちゃんが、私の手を握る。


「俺の傍に居てほしい」


真っ直ぐな瞳と、小箱の中で光る指輪。
交互を見つめ、そして小さく「はい」と返事をした。


「ありがとう」


冬馬兄ちゃんは静かに言い、指輪をそっと、薬指にはめてくれた。


「ごめん、サイズが少し大きかったね…今度戻る時までに直しとく」

「ん…」


ぶかぶかの指輪。それを箱に戻す冬馬兄ちゃんは、子供が悪巧みに失敗した時のような顔をしてた。
それから私を見て、少し考えた後に言う。


「…馬鹿だと思われるかもしれないけど、美和が承けてくれるっていう自信があった。
ずっと俺を待っていてくれてるっていう自信があった。
ほんと、馬鹿だよな。自己中もいいとこだ」


苦笑気味に笑う冬馬兄ちゃんに、私も同じように笑う。


「ほんと、自己中心的。
でもありがとね。
冬馬兄ちゃんが私を想ってくれていて、嬉しかった」


私たちは、もう離れることは無い。
ずっとずっと、一緒…。




その後一緒に食べたご飯は少し冷めていたけれど、そんなことなんて気にならないくらいに心の中は温かだった。




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