幼なじみは年の差7歳【完全版】
……。
駅に着き、ホームへ入る為に入場券を買う。
あと少しで、冬馬兄ちゃんとお別れ…。
「…美和たちが全然変わってなくて安心したよ。
勿論、見かけは大人っぽくはなったけど」
「…それって精神年齢が低いって言ってる?」
「いや、純粋ってこと」
なんだか上手くかわされてしまったような感じがしたけれど、みんなで笑い合う。
「着いたらメールする」
「…ん、待ってるね」
5年間、メールも電話もしなかった。
だけど今は違う。
メールも出来るし、電話も出来る。そして半年後に、また会える。
「麻実、良明くんと仲良くね?
良明くん、麻実を頼む。
そして、美和」
二人を見た後、もう一度私を見る。
私の手を握る冬馬兄ちゃんは、とても穏やかな顔をしていた。
「もう少しだけ俺を待っていてほしい。
すぐには会えない距離だけど、俺はずっと美和を想ってる。
だから美和も、俺を想って待っていてほしい」
真っ直ぐなその言葉。
泣かないと決めたはずだったのに、涙が溢れてきた。
「ずっと…ずっと待ってる。
私、ずっと待ってるよ」
「うん」
握られた手がゆっくりと離され、私の涙を優しく拭う。
「行ってくる」
3歩離れた冬馬兄ちゃんが笑顔で手を振り、そして歩き出す。
「行ってらっしゃい!」
5年前と同じように言葉を交わし、冬馬兄ちゃんの背中に大きく手を振った。
「Te amo.」
振り返った冬馬兄ちゃんが、そう言って微笑んだ。