幼なじみは年の差7歳【完全版】
…良明くんはミキさんの言葉に何も言わない。だからそれが事実なんだと知る。
「ねぇ、二人は恋人?年の差カップル?」
無邪気で興味津々なミキさんの笑顔。
私は言葉を出すことが出来なくて、ただ呆然とそこに居た。
「…悪いんだけど、俺たちそろそろ帰るよ」
冬馬兄ちゃんの言葉にミキさんは席を退き、良明くんも立ち上がった。
伝票を持ち、テーブルに一万円札を置く冬馬兄ちゃん。
「悪いね、話が出来なくて。
これで好きなの食べてね」
優しい笑顔。だけどそれは、本当の笑顔じゃない作り物の笑顔…。
それに気付いているのは私と、良明くん…ミキさんは嬉しそうに挨拶をしているだけだ。
私の手を掴んだ冬馬兄ちゃんは、少し強い力で歩き出す。
「美和ちゃん…明日、話そう」
良明くんの声を後ろに聞きながら、ファミレスを出た。
――……。