幼なじみは年の差7歳【完全版】
「………」
黙ったまま私の頭を撫でた後、冬馬兄ちゃんは車のエンジンをかけた。
(…良明くん、私のこと大事にしてくれてたのにな)
遠くを見ながら、良明くんへのプレゼントが入ったカバンを握り締めた。
無駄になるかもしれないプレゼント。渡せないままになるかもしれないプレゼント。
「…ちょっと泣きそう。
化粧取れて変な顔になっても笑わないでね?」
無理矢理作った笑顔でなんとか涙を我慢する。
「泣いてもいいよ。外には聞こえないから。
落ち着くまで車走らせるから、好きなくらい泣いていい」
冬馬兄ちゃんの言葉が私の心を癒してくれる。
いつも優しい冬馬兄ちゃん。ずっとずっと、私の味方で居てくれた冬馬兄ちゃん。
これから先もきっとずっと、私の味方で居てくれる。
「…ありがとう。ごめんね」
溢れ出す涙を止めることが出来ない。
だけど、「それでもいい」と言ってくれる冬馬兄ちゃん。
その手はいつまでもいつまでも、私の頭を優しく撫でてくれた。