幼なじみは年の差7歳【完全版】
「…ごめん。こんなこと言うつもりじゃなかった」
私は、良明くんの誕生日プレゼントを買っていた。
冬馬兄ちゃんと一緒に…プレゼントを――。
「………」
…カバンの中から、誕生日プレゼントとして買った時計を取り出す。
それを静かに渡し、笑ってみせる。
「昨日ね、これを買ってたの。
もうすぐ良明くんの誕生日だから…だからね…」
――だから。
冬馬兄ちゃんと一緒に居たんだよ。
良明くんの笑顔が見たかったから…。
…それは同じことだったのかな?
私、同じことをしていた?
「…ごめんね。私、馬鹿だからよくわからない。
私がしたことで良明くんを傷つけたのなら謝る。ごめんなさい。
…チャイム鳴るからもう行くね」
…頭の中グチャグチャだ。
何が良いことで何が悪いことなんだろう?
逃げるようにそこを立ち去り、涙が溢れそうなのを我慢して教室に入った。
麻実ちゃんが心配そうな顔をしたけれど、チャイムに阻まれる。
私にとっては都合の良いチャイム。
今何か話たら、涙が我慢出来なくなる。
ゆっくり深呼吸して、前を見つめた。
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