幼なじみは年の差7歳【完全版】


「…ごめん。こんなこと言うつもりじゃなかった」


私は、良明くんの誕生日プレゼントを買っていた。
冬馬兄ちゃんと一緒に…プレゼントを――。


「………」


…カバンの中から、誕生日プレゼントとして買った時計を取り出す。
それを静かに渡し、笑ってみせる。


「昨日ね、これを買ってたの。
もうすぐ良明くんの誕生日だから…だからね…」


――だから。
冬馬兄ちゃんと一緒に居たんだよ。
良明くんの笑顔が見たかったから…。

…それは同じことだったのかな?
私、同じことをしていた?


「…ごめんね。私、馬鹿だからよくわからない。
私がしたことで良明くんを傷つけたのなら謝る。ごめんなさい。
…チャイム鳴るからもう行くね」


…頭の中グチャグチャだ。
何が良いことで何が悪いことなんだろう?


逃げるようにそこを立ち去り、涙が溢れそうなのを我慢して教室に入った。
麻実ちゃんが心配そうな顔をしたけれど、チャイムに阻まれる。

私にとっては都合の良いチャイム。
今何か話たら、涙が我慢出来なくなる。

ゆっくり深呼吸して、前を見つめた。




.
< 54 / 278 >

この作品をシェア

pagetop