幼なじみは年の差7歳【完全版】
全身が緊張する。
ドアの前に立つ良明くんからは逃げられない。そう感じた。
「…朝はごめん」
そんな言葉から始まる良明くんは、ふっと手を差し出した。
その手の中には、今朝…私が無理矢理押し付けた誕生日プレゼント。
封が切られてるから、中を見たらしい。
「これ…貰う資格なんて俺には無いなと思って。
ヒドいこと言ってごめんね」
一番近くの机にそれを起き、ドアに寄りかかる良明くんは、どこか吹っ切れた顔してる。
「俺ね、美和ちゃんのことほんとに好きだった。
だから…キミを守りたかった。
あんなやり方しか浮かばなかったけれど、俺…本当に守りたかったんだ」
…良明くんの精一杯の言葉。
私を想ってくれていたのは、本当の気持ち…。
「あの、良明くん」
私も、良明くんを想っていたのはほんとだよ。
「迷惑じゃなければその時計、受け取って欲しい。
良明くんを想って買ったのは…本当だから」
“誰と買いに行ったか”じゃなくて、“誰を想って買ったか”が大切だと思った。
私は、良明くんを想って買ったんだ。
「…美和ちゃんは優しすぎるよ」
そう言った次には、もう良明くんは私の目の前に来ていて…そっと、強く抱き締められていた。