幼なじみは年の差7歳【完全版】
それから、少しだけ照れくさそうに髪の毛をかき上げる。
「家に電話したらまだ帰ってないって言うから…学校に居るかなと思って寄ったんだ。
ほら、通り道だし…ついでだよ」
だけど、ずっと待っててくれたんだよね…?
私が学校に居るかどうかもわからない状況で、それでも待っててくれたんだ。
「学校出て、家に向かってる途中だったらどうしたの?」
「おばさんに“美和が帰ったら連絡くれ”って言ってたから、その時はその時だよ」
…冬馬兄ちゃんの真っ直ぐな言葉。
優しさが、嬉しい…。
「…美和が来なかったら、怪しい車が止まってる!って変質者扱いで通報されてたかもね」
苦笑気味に笑う冬馬兄ちゃん。
私もそれに合わせて笑ってみせる。
「とりあえず帰るか」
ドアを開けて助手席に座るよう促す。
そんな優しさに少しだけ胸が痛む。
(私は冬馬兄ちゃんの彼女でもないのに…こんなことしてもらっていいのかな)
不安ばかり感じてしまう。
どこまでが幼なじみとしてで、どこからが違うんだろう?
それがわからなくなっていた。
私がしていたこと…冬馬兄ちゃんとのことで良明くんを傷つけていた。それは本当のことだ。
“ただの幼なじみ”は、どこまでがそうなんだろう…?
「美和、今日ウチでご飯食べていかない?」
「あ…うん」
お互いの家に行き来することは、今まで当たり前だと思ってた。
だけどいつか…いつかはそれが変わっていくのかな?
少なくとも良明くんは、私が冬馬兄ちゃんと一緒に居ることを嫌がっていたみたいだし…。
(いつかは変わらなきゃいけないのかな?)
どこか寂しさを感じながら、運転する冬馬兄ちゃんを見た。