幼なじみは年の差7歳【完全版】
肉じゃがを抱えながら冬馬兄ちゃんの家へと向かう。
玄関を開けると、ニンニクと玉葱を炒めるいい匂いがした。
「お兄ちゃん、これお母さんから」
既に出来上がっているサラダの隣に置き、コンロの方を見る。
玉葱を炒めるフライパンの横ではお湯の入った大きな鍋がグツグツと音を立てている。
「あとでお礼言っとかなきゃな」
そう言うお兄ちゃんも着替え終わっていて、ビール片手に私を見る。
「美和、ツナ缶プリーズ。あとパスタ」
「あ、はい」
予想通り夕食はパスタだ。指示された通りの物を取り出してお兄ちゃんに渡す。
「やっぱり料理上手だね」
私が居る時は何かを作ってくれるけれど、それ以外はほとんど買ってきたお弁当を食べている。
お兄ちゃんの作る料理は毎回凄く美味しいから…料理が下手とかじゃ無いのになぁ。
「まぁ、パスタくらいならね」
笑いながらフライパンの方を仕上げ、その数分後、茹で上がったパスタを絡めていく。
最後に海苔を散らせば完成だ。
「よし完成、っと。
ちと豆板醤入れすぎたかも」
「辛いの好きだから平気!
お兄ちゃんの得意料理だね」
ツナと玉葱のピリ辛パスタ。
お兄ちゃんが作ってくれる料理の中で一番好きな物だ。
テーブルに運んで、二人の夕食が始まる。
…今日のことを忘れてしまうくらい、楽しい時間。
夕食が終わったら、色々話さなきゃ。
その時も笑顔で居られるように、今は笑おう。
「美味しいね」
大切な、二人の時間…。