幼なじみは年の差7歳【完全版】
……。
時間が止まってしまったかのように静まり返る。
冬馬兄ちゃんの表情からは何もわからない。
無表情に近い顔。
真っ直ぐに私を見ている。
「…良明くんとはちゃんと話せた?」
「え、あ…うん…別れ、た」
止まっていた時間が動き出した時、さっきの言葉は空気に溶けて無くなった。
「だけどあんまり落ち込んでいないみたいだね」
「…そう、かな?」
「うん」
あの言葉はなんだったの…?
だけど、それを問うタイミングを完全に失った。
「…良明くんとちゃんと話して、言葉を聞いたから…もう平気」
「そっか」
戸惑う私に冬馬兄ちゃんは微笑み、手を伸ばす。
「ご飯終わったら、もう少しゆっくり話そうか」
頬に触れたその手から冬馬兄ちゃんの体温が伝わる。
(…からかってるだけなのかな…)
いつも…冬馬兄ちゃんは私の心を動揺させる。
「美和が望むなら何をしてもいい」とか、「魅力のある女性だから」とか…。
さっきのセリフだって…言うだけ言って、あとは知らん顔して別の話をするなんて…そんなのズルいよ。
いつもいつも…いつだって私は、冬馬兄ちゃんの言葉に揺さぶられる。
「私のこと、どう思ってるの…?」
もう限界だ。
冬馬兄ちゃんの気持ち…私のことを、どう思ってるのかが知りたい。
フォークを置いた私を見つめ、冬馬兄ちゃんは口を開く。