幼なじみは年の差7歳【完全版】
静かな部屋の中、並んで座る私たち。
冬馬兄ちゃんは今でも私の頭を撫でている。なんだか少し、恥ずかしい。
「…ねぇ、一緒に時計買いに行こ?
壊れちゃってるから、新しいのにしちゃいなよ!
半分くらいなら私が出すしー」
「え?あぁ…コレ?
うーん、でもまだ動いてるから平気だよ」
壊れてる腕時計を思い出し、話題を振る。
苦笑気味に笑う冬馬兄ちゃんは、良明くんの話が終わってホッとしてるように見える。
「でもいつ止まるかわからないじゃん。
今度の日曜日、買いに行こ?」
しつこく迫る私に冬馬兄ちゃんは言う。
「平気だってば。
それに…日曜日は先約がある」
…先約。仕事関係かな?
それなら仕方がない。
「…残念。でも先約があるなら仕方ないね」
その日以外に買いにいけばいいだけの話だ。
でも、今回もまた私がプレゼントしたら…喜んでくれるかな?
全額負担となるとお小遣いだけじゃ厳しいけど…。
「…バイトしようかなぁ。
もうすぐ夏だし、夏休みの間だけとか」
夏休みが終わったらすぐ冬馬兄ちゃんの誕生日がやってくる。
その誕生日プレゼントとして腕時計を贈ろう。そう考えた。
「美和がバイト、ねぇ…不器用だから同僚が大変そうだな」
「もぉ、そんなこと無いよーだ。
冬馬兄ちゃんの意地悪!」
私にだって出来る仕事はある…はず。
色々探してみよう。
「無理はしないようにね、美和」
優しく言う冬馬兄ちゃんは、そっと静かに私を抱き寄せた。