依存~愛しいキミの手~
「何食う?」


「どうしよっか?何か色々あるよな」


優と圭介が前に並んで話している。


「夜遊びの場所ってかんじだね」


美香がキョロキョロして言った。


「うん。よくここら辺のカラオケとかでオールしたりするよ」


カラオケ屋の入るビルを指差して言った。


「そういや、美香は週何日くらい出勤するの?」


美香がタバコを取り出して少し考えてから、火をつけ言った。


「週5とかかな?とりあえず学費貯めなきゃならないからさ」


「学費?」


火をつけようとしていた手を止め、美香の顔を見つめた。


「うちね、小さい頃離婚して父子家庭なの。オヤジは単身赴任してるからたまにしか帰ってこないんだけど、兄貴のことがあったから高校くらいは行ってほしいみたいでさ。この前進路のことで大喧嘩。高校じゃないなら学費は出さないってこの前言われちゃった(笑)」


あ…だから美香の家、親がいなかったんだ。


笑った後、ため息をつくように、タバコの煙りを吐き出した。


私も手にしていたタバコに火をつけ


「目標持ってるなんて偉いな…。私なんてただお金あれば欲しい物買えるからいっかーみたいな気持ちだよ」


また、美香のしっかりした面を見て自分のガキ臭さが浮き彫りになったような気がする。


「あははっ、同じだよ。私も欲しい物が学費だっただけじゃん?あすかもさ、働いてくうちに目標みつかるって」


にっこり笑った美香の顔に街灯の光が当たった。
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