依存~愛しいキミの手~
焼き肉に行くことになり、モールの脇道に入る。


若い子向けの繁華街とはことなる雰囲気に変わり、韓国料理の店が並び、風俗の看板があちらこちらに光る。黒塗りの車が路上駐車であふれ、日本語ではない言葉が飛び交っていた。


初めて足を踏み入れた場所に、私は不安で胸がドキドキしていた。


「すみませーん、この辺りにどっかうまい焼き肉屋ないっすか?」


優が、突然風俗店の前に立つ客引きに声をかけた。


え!?何やってんの!?


慌てる私をよそに、その客引きは笑いながらおすすめの焼き肉屋を教えてくれた。


「とりあえず何飲む?」


教えてもらったお店に入り、バイクで来てるからと烏龍茶を4つ頼んだ。


「そういえば、三鷹からどのくらいかかった?」


私が向かいにいる美香にお絞りを渡しながら聞いた。

「えー、どのくらい?何か色々迷って結構時間かかったけど、迷うのも楽しかったよね(笑)」


美香が、窓際に飾ってある高麗人参を触りながら言う。


「2時間半くらいかかったんじゃね?早めに出てあすかの地元探索しようって張り切って来たからさ」


優がタバコをとんとんやって灰を落とした。その灰を灰皿の隅に寄せている。


「上使えば1時間くらいで来ると思ってたけど、こいつら来るから下道なんて考えてなかったからな(笑)」


圭介が優の整えた灰皿に灰を落とす。優がまた灰を寄せた。
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