依存~愛しいキミの手~
優がコンビニから出て来たのが見え、立ち上がり手を振ろうとした時、スーツを着た2人組の男が優に何か話しかけた。


?


「スカウトかな?」


隣に座りタバコを吸う美香が言った。


スカウト…って、ホストの…?


優が戻って来たので聞いてみたらやっぱりそうだった。


エレベーターを待っていると、圭介から電話がかかってきて近くに来ていた。


2人に先に行ってもらい、電話を片手に入口まで圭介を迎えに行く。


圭介が歩いて来るのが見えた。


「圭…」


電話を耳に当てながら圭介を呼ぼうとしたら、ホストにキャッチされた。


「何してるの?暇なら飲み来ない?初回ならフリードリンクで無料だからさー」


「今友達と待ち合わせしてて…」


「じゃあ友達来たら一緒に行こうよ」


「いや友達って…」


そう言いかけた時


「男だけど?つーか、そんなキャッチじゃ引っかからねーよ!もっと勉強しろ!」


圭介がそう言い、私の手を引っ張ってエレベーターの方へ歩き出した。


こんなタイミングよく現れてくれるなんて、何か少女漫画の世界みたい…。


私は手に持っていた携帯を畳んでバッグにしまいながら思った。


「ここ水商売の街!?」


圭介も圭介をポケットにしまいながら言った。


は?


「ここまで来る途中何回もスカウトされるし、キャバのキャッチされるし…」


圭介が苦い顔をする。


「スカウトされるなんて、それだけホストのオーラが出てるってことじゃないの?(笑)」


私がからかい半分で言うと、圭介にデコピンされた。
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