依存~愛しいキミの手~
長い坂道の続く住宅街。街灯もそんなに多くなく、暗い道路にバイクのライトが光を広げる。


「すげー坂だな」


圭介が私を振り返りながら言った。


「でしょ?毎日この坂歩いてんだよ。ダイエットにちょうどいい(笑)」


夜中の住宅街に、バイクの音と私たちの話し声だけが響いていた。


坂道の途中にある広い団地。そこが私の家。


「あ、ここ!」


そう私が言うと、バイクが止まった。


「団地の中少し複雑だけど、帰り道分かる?」


私がヘルメットの紐に手をかけ言った。


「バカにすんなよ(笑)」


そう笑い、圭介がヘルメットを外してくれた。


「じゃあ、また連絡するな」


圭介がバイクの鍵を回す。


「あ…」


思わず呼び止めた。


さっき、エレベーターで…。


そう聞きたいけど、言葉が出ない。


圭介の目に引き込まれ、目が離せなくなる。


「ははっ、明日学校だろ?早く家入れ」


圭介が笑って私の頭をくしゃっとなでた。


「…うん、今日はありがとう」


そう言うと、圭介は優しい笑顔を残しバイクを走らせて行った。
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