依存~愛しいキミの手~
「でもさぁー…」


ブブブ ブブブ ブブブ


そうゆきが言った時、机に置いていた携帯が震えた。


『圭介』


開いてあった画面に圭介の名前と番組が映し出される。


わ!圭介からだ!


憂鬱な気分が一気に吹き飛ぶほど、心が舞い上がった。


「圭介って誰?」


ゆきのヤツ目ざといな…。


「ごめん、ちょっと電話してくる」


そう言って携帯を左手で持ち廊下に行った。


「おはよ。ザワついてるけど、もう学校?」


圭介の声だ…。


思わず口元が緩む。


「うん」


「今日は早いんだな(笑)」

日曜日に別れてから、毎朝圭介が仕事を終えると電話をくれていた。


それも平凡な毎日にいつか入るのかな?


「今日は酔ってないの?」


「昨日の夜雨降ってたからあまり混まなくてさ」


圭介があくびしながら言った。


「そうだったんだ。でも今は晴れてるね。そっちも晴れ?」


私が廊下の窓から空を眺めて言った。


「あぁ、晴れてるよ。でも確か週末はまた雨じゃなかった?」


あ、天気予報で言ってたわ。


「早く梅雨明けしてほしいよねー」


「梅雨明けたら夏だな!夏になったらまたギャル男に戻るかな♪(笑)」


圭介が笑った。カチンとジッポを開ける音が聞こえた。


「…ねぇ、あさって出勤する前一緒にご飯食べよう」

私が思い切って誘った。


うわっすごい顔が熱くなってきた。電話越しで良かった。


キーン…コーン…カーン…コーン…


「いいよ。何食べたいか決めとけよ!…チャイム鳴ったしまたな」


「うん、ゆっくり休んでね。おやすみ」


電話を切り、携帯を太陽にかざした。ストラップを指ではじき、満たされ心ににんまり笑って教室に戻った。
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