依存~愛しいキミの手~

憧れ

私のハンカチを知美に選んでもらい、イブサンローランとバーバリーを何枚か買った。


飲み物を買い、またさっきの川沿いに戻ってタバコを吸った。


「私ね、あすかちゃんに憧れてたんだ。」


え!?


何の前触れもなく、突然言われ驚いて飲んでいたジュースが変な所に入った


ゴホッゴホッ


「な、何で!?」


むせながら聞く私の背中を、笑いながら叩いてくれた。


「ほら、さっき私は周りに作られた自分だって言ったでしょ?…うちね、すっごい貧乏なの。父親がろくでもないんだ。酒に酔って母親に暴力奮うし、働かないでパチンコばっかり行ってるし…。そんな父親と別れないで黙って一生懸命働く母親を見てたし、小さい頃は貧乏をバカにされていじめられたりもしながら、周りに心配かけないようにって育ってきたんだ。そうしたら、自分がない人間に育っちゃった。周りからの目をすごく気にしちゃって、期待外れのことはしちゃいけない、周りのイメージから外れちゃいけない…って思い込んでて」


知美が、前を流れるオレンジ色の川を見つめながら話す。


「キャバクラ始めたのは、単にお金のため。でも、そこが本当の私が出せる場所だったんだ。ワガママ言っても、反論しても、お客さんはまた私に会いに来てくれる。すごく楽しいんだ」


知美が優しく笑った。夕日が当たり、綺麗な笑顔がさらに綺麗に見えた。
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