依存~愛しいキミの手~
「ともさんがまだ中にいるって言ってたから」


そう笑って言う圭介に、トクンと胸が大きく高鳴った。


昇降口にいる人たちが圭介をジロジロと見る。


「あ、部外者禁止か。先行ってるから早く靴履いて来いよ!」


そう言って圭介は私の肩にかかっていた鞄をはずして、そのまま持って歩いて行った。


うわっうわっ、ヤバいおさまれ心臓!!


「…すっげーかっこいいじゃん!!何今の!?さらっとカバン持ってくれちゃってぇー!」


ゆきが興奮して私の背中をバンバン叩く。


「あんな顔でさらっと優しくされたら誰だって落ちるね。…って、早く靴はきなよ!」


ゆきに背中を押されてやっと靴をはいた。半ば無理やりゆきに腕を引っ張られ、みんなの待つ校門まで行った。


「あすか久しぶりー!!」


美香と優が小走りで駆け寄ってくる。


美香の顔を見て安心し、少し緊張がとけた。


「あ、この子もあすかの友達?初めまして。美香です」


美香がゆきを見て挨拶した。ゆきも挨拶を返す。


「車向こうに止めてあるから行こう。2人家送ってあげようか?」


りょうちゃんが知美と手をつなぎ言った。


「あ、うちらはこれから出かけるんで。じゃあね。」

ゆきと茜が手を振りながら言うので、私たちも手を振り歩き出した。


後ろで茜とゆきがきゃあきゃあ騒いでいる声が聞こえ、隣に並ぶ圭介が笑っていた。
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