依存~愛しいキミの手~
「学校って懐かしいな。久しぶりに中入ったら戻りたくなった」


圭介がフェンスの向こうに見える校舎を、優しい目つきで見つめながら緩んだ口元で言った。


それって、春子さんを思い出してってこと…?


胸にチクッとした痛みが走る。


「ダチに会う為だけに学校行って、先公と喧嘩した腹いせに窓ガラス割ったり、原付で校舎ん中走ったり…本当ガキで無茶すんのが楽しかったんだよな…」


圭介が校舎を見つめたまま、独り言のように呟いた。

…圭介の中学の思い出は、きっと春子さんで溢れているんだろうな…。


優しく笑う圭介の横顔が、悔しいくらい綺麗に見えた。


「パンチパーマで学校行ったら爆笑されて、八つ当たりで黒板ぶっ壊したりねぇえ(笑)」


前を歩いてた美香が、からかうように笑って言った。


「何!?圭介パンチかけたことあんの!?」


美香と優の前を歩いているりょうちゃんが振り返って言った。


「このやろっ、余計なこと喋ってんじゃねぇよ!!」


圭介が笑いながら美香の後頭部を小突く。


「圭介くんのパンチかぁ…ふふっ、悪いけど想像すると笑える(笑)」


知美が前を向いて歩きながら笑った。


みんなが笑いだすと、圭介は髪をくしゃっと掴み顔を赤らめた。
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