依存~愛しいキミの手~

お好み焼き

予約の時間になり、お好み焼き屋へ行った。


古いけど、それがいい雰囲気のお店。


掘りごたつをみんなで囲み、とりあえず生ビールで乾杯する。


「お好み焼きなんて久しぶりー」


「私も!」


隣同士に座る美香と知美が、はしゃぎながらメニューを眺めている。


「あすか苦手な物ある?」


見ていたメニューの向きをくるっと回し、私に見せながら美香が聞いてきた。


「特にないよ。あ!でももんじゃはキムチチーズね」


りょうちゃんが知美と楽しそうに相談しながら、店員に適当に注文してくれた。


こんなに仲良さそうなのに、知美が言ってた『ずるい人』ってどういうことなんだろう…?


本当に普通のカップルにしか見えない。普通じゃない所を上げるなら、美形カップルって所くらいかな…。


2人が楽しそうに笑い合うのを見つめながら、タバコに火をつけた。


「あすかって酒も食い物も苦手なのねーってすげーな。羨ましいよ」


優がテーブルに肘をつき体を少し前に倒して、間にいる圭介の脇から顔を出した。


「何苦手なの?」


私も優と同じ大勢になって聞いた。


「炭酸系。ビールは慣れたけど、シャンパンはいまだに無理。一気とかしたらまじ悪酔いして最悪だし(笑)」


優が八重歯を覗かせ、子犬のような笑顔を見せた。
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