依存~愛しいキミの手~
「とりあえず、深呼吸しろよ」


圭介が丸まった私の背中を軽く叩いて言うので、私は顔を上げて深呼吸を2回した。


スー…ハー スー…ハー


あ、何か落ち着いてきた。


「心配かけちゃってごめん、もう大丈夫。…って、美香たち見えなくなっちゃった!?」


慌てて立ち上がろうと腰を浮かせた時、圭介が私の腕を掴んだ。


え…?


振り返ると同時に、圭介が自分の方に引っ張るので、私はバランスを崩して倒れてしまった。


「いたた…」


ぶつけたおでこに手を当てながら顔を上げると、すぐ側に圭介の顔がある。


!!


「ご、ごめ…」


慌てて体を離そうとする私の背中に、圭介が腕を回す。


一瞬ギュッと抱きしめられ後、圭介が口を開いた。


「何?お前近すぎて恥ずかしかったの?(笑)」


圭介の声が耳元で聞こえる。


意地悪くからかうような口調とは反対に、優しく髪をなでた。


どうすればいいの!?え、てか何!?何で!?


それだけが頭の中をぐるぐりながら、落ち着いたと思っていた心臓がまた大きく動き始めた。


さっきパーカーからしたいい香りが私を包む。


「いい匂いがする」


自然と口からもれた。


「え?…今日はまだつけてねーんだけどな…」


そう独り言のように呟き、肩に鼻をつけ圭介が自分の服の匂いを嗅いだ。
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