依存~愛しいキミの手~
ボーっと圭介の部屋を見渡しタバコを吸っていたら、スウェット姿の圭介が戻ってきた。


頭にタオルを当ててゴシゴシ拭いている。


「あ、飲んだ?まずかっただろ(笑)」


圭介がいつもと変わらない笑顔を見せた。


トクン…


そう胸が高鳴った。


だけど、私も変に意識したらいけないと思い、冷静を装って


「ちょー苦かった(笑)」


と笑った。


圭介がテーブルを挟んだ向こうにあるソファーに座り、二日酔い用のドリンクを飲んだ。


「これ、効くよ」


そう言ってタバコに手を伸ばす。


火をつけ何口か吸った後、


「お前も風呂入る?俺のスウェットでいいなら貸すよ」


「あ…じゃあこれ吸ったら入る」


時計を見るとまだ12時過ぎだった。


「圭介の部屋ってシンプルだね」


私が灰皿に灰を落とし言う。


「そっか?あんま物あっても邪魔なだけじゃん」


圭介は笑って煙を吐き出した。


「こんな広い部屋いいなぁ。私この半分くらいしかないのに家具多いから、すっごい狭いよ」


「無駄に広いだけだよ、部屋も家も」


そう言いながら圭介が俯き、髪から雫が落ちた。

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