依存~愛しいキミの手~
この日、私は仕事に集中できずにいた。


お客さんの話しを聞き取れなかったり、火をつけ忘れたり、灰皿交換を忘れたり。小さなミスだけど、何回か繰り返してしまい、イッシーに呼ばれ控え室に行った。


「体調わるい?」


「いえ…本当にごめんなさい」


私が頭を下げた。


「…プライベートで何かあったのかもしれないけど、それを店に持ち込んじゃいけない。ここは、夢を売る場所。それなりにお金支払ってもらってるお客様に対して、中途半端な気持ちで接客するのは失礼に当たるよ」


イッシーは、返す言葉のない私の前に灰皿を置いた。


「吸って一呼吸おきな」


そう言ってイッシーもタバコを吸い始めた。


私が二口くらい吸うとイッシーはまた話し始める。


「今日売上表見た?」


あ…すっかり忘れてた。


顔を横に振ると、売上表をテーブルに置いて見せてくれた。


「これが指名数、これがドリンク数、で、これが売上。…昨日だけでだいぶいってるだろ?ドリンク数は昨日あすかちゃんがトップだったし。今日まだドリンク何杯かしか飲んでないよね?昨日の同じ時間には何倍も飲んでたよ」


イッシーが真顔で淡々と述べる。
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