依存~愛しいキミの手~

圭介

圭介の左の薬指に彫られた墨をそっとなでた。


普通の肌の感触。


あ…。


「これは?」


親指と人差し指の間に、小さな丸い点が三角形に3つ並ぶ。


「…鑑別三ツ星…」


恥ずかしそうに反対側の手で顔を押さえ、不思議そうに手を見る私に説明してくれた。


「俺さ、中3の春から10ヵ月ちょいくらい年少…少年院入ってたんだ…」


圭介は年少リングに視線を落とし言った。


「少年院…。そんな悪いことしたの?」


私はもう1度年少リングにそっと触れた。


「いや…う~ん…まぁ鑑別で止まらなかったくらいだから、それなりのことしたんだよな…。万引きしたり喧嘩したり無免でバイクや車乗ったり…。族に入ってたっつーのと、何回もマッポに捕まってたし、親も俺が年少行くのはって何度か頭下げてくれて鑑別止まりだったりしたんだ。その時入れたのがこれ」


そう言って圭介が3つ並んだ点を指差す。


「で、さすがに今回は許せないってなって年少にぶち込まれたんだ。まぁ、マッポに事情聴取された時に面倒臭くなって俺がやってない罪も被ったんだけどさ。」


圭介が笑いながら言った。でも、言葉の感じとは裏腹に複雑そうな表情を浮かべている。


爽やかだと思っていた第一印象とは全く違う過去があるんだ…。


もっと詳しく知りたかったけど、圭介の表情見てたらそれ以上は聞けなかった。
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