依存~愛しいキミの手~
「笹どうしよっか?」


優の声でハッと我に返った。


机に頬杖をつきシャーペンを指で器用に回しながら言う優。


「去年りょうさんが貰ってきたよな?今年も聞いてみようぜ」


優がノートに『笹はりょうさん』と綺麗な字で書き込んだ。


うわ~達筆…


頭のいい人は字が綺麗と言うイメージができたのはこの時だった。


「お風呂ありがと~」


美香が髪をまとめ上げながら部屋に入ってきた。


「あすか先入ってきていいよ」


と、優が言ってくれたので、私はスウェットとショップ袋を持ちお風呂へ行った。


私、普通にできたよね…?意識してるなんてバレてないよね!?


そんな思いが一気に頭の中をいっぱいにした。


さっぱりして圭介の部屋に戻ると、圭介と優は机を挟み座り相談し、美香はベッドの上で寝転がって雑誌を読んでいた。


私がソファーに座りタバコに火をつけると、美香が雑誌を開いたまま隣にきた。

「何読んでるの?」


そう言いながら覗くと、ブランド物がたくさん載っているページだった。


「バケット欲しくてさ。ご褒美に給料入ったら買っちゃお!」


嬉しそうに言う美香に、私も笑みを返した。
< 190 / 441 >

この作品をシェア

pagetop