依存~愛しいキミの手~
少しの間沈黙が続いた。


重い空気に耐え切れずに、


「早く行かないと、美香たち見失っちゃう!」


と、立ち上がった。


「そうだな」


笑顔で言いながら圭介も立ち上がった。


そして、私の手を取った。


どうして当たり前のように初対面の私と手が繋げるんだろう…誰とでもこうなのかな…


胸がチクッとした


…え…?何今の気持ち。まるで嫉妬してるみたい…


嫉…妬…?…え…私もしかして…!?


そんな感情を拭うように繋いでいた手を振りほどいてしまった。


「…どうした?」


圭介が不思議そうな表情で聞いてくる。


やばい!


「え…あ…いや、な、慣れてないから…こういうの」


下を向きながら慌てて言い訳をした。


「…そっか。ごめんな。」


声が低い。怒らせちゃったかな。どうしよう…


戸惑っている私の前に手が差し出された。


「手、繋ごう。…って声かけりゃ良かったんだな」


無邪気に笑う圭介を見て拍子抜けした。張り詰めていた緊張が一気にとける。


「そうだよー!もう。」


私も笑顔になりながら圭介の手をつかんだ。


さっきの感情が嫉妬なのか何なのかは分からない。


ただ、圭介をもっと知りたい、圭介にもっと触れたい、そう思った。


初対面の人にこんな風に思うなんて初めてで、これが恋の始まりなのかすら私には分からない。


分からないことは考えなきゃいい。考えれば考えるだけ、どつぼにハマる。
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