依存~愛しいキミの手~
私…私…


いくら酔ってたからって、何てこと言ってんだよバカー!!


その時に戻って自分をぶん殴ってやりたい…。


「圭介くん何も言ってなかった?」


知美が困惑した顔で言う。


「うん…何も…」


私は倒れていた椅子を直し座った。


短くなったタバコを消し、新しいタバコに火をつける。








沈黙が続き、お互いのタバコを吐き出す音だけが響いていた。


「…圭介くんもふらふらになるまで飲んでたから、覚えてないのかも」


知美がそう言って、タバコをトントンと指で叩き灰を落とす。


「その時圭介…どんな反応してた?」


私が1番気になっていた事を単刀直入に聞いた。


「あ、私は帰り際で立った時だったから、直後の反応しか分からないんだけど、あすかちゃんの頭撫でてたよ。…すごい優しい顔して」


知美も優しい笑顔を浮かべ言った。


「それとね、今まで黙ってたことなんだけど…それ…」

知美がテーブルに置いてある私の携帯を指差した。


携帯?


私は携帯を持ち上げ軽く首を傾げ知美を見た。


知美は笑いながら首を横に振った。


「こっち」


とストラップを指ではじく。
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