依存~愛しいキミの手~
「だからね、圭介くんは春子さんとの思い出をずっと眺めているんだと思う。いくら本人が吹っ切っても、受け入れても、誰かが遮らないとずっと眺め続けるんじゃないかな?」


「…さえ…ぎる…?」


「春子さんとの思い出の道が見えなくなるくらい、違う人との思い出の道を作り上げていくってこと。時間は何倍もかかるだろうし、一緒に作り上げていく側は、たまに春子さんと自分が重なる位置に歩いたりして辛い思いをするだろうけど、そうやって過去の思い出って薄れて行くんじゃないかなって、私は思うよ」


私はものすごい衝撃を受けた気分だった。


すごい…。


なんてすごいんだろう。


目の前で微笑んでる彼女は、本当に私とタメなの…?


そう疑ってしまうほど、自分の中で何かが変わった。


「すごいね…」


それしか言葉が出ない。


私は、春子さんにかなうかなわない、言うなら縦に伸びるパラメーターのように考えていた。


一緒に過去が見えなくなるまで道を作り上げる…か…。
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