依存~愛しいキミの手~
「あすか、あんた親と連絡取ってるの?」


さゆ姉とスーパーに買い物に行った時、聞かれた。


「連絡しないなら捜索願い出すって言われて1回メール返した」


それだけ。


1ヶ月ほぼ毎日、姉ちゃんと母親から連絡が来ていたが、その1回友達の家にいると短文を送っただけ…。


「もう夏休みも終わるし、帰りなよ。きっかけ逃すと余計帰りにくくなるよ」


レタスをカゴに入れるさゆ姉。


「美香が羨ましい」


カートを押す手にギュッと力を入れ、ボソッと呟いた。


「何で?」


小さく呟いた声をさゆ姉は聞き逃さなかった。


「さゆ姉みたいに、分かってくれる人が家族にいるなんてさ」


さゆ姉の歩いていた足が止まる。


「私は親じゃないから。親って育てて行く責任があるから、つい厳しくなるんだよ。あすかも本当は分かってるんでしょ?」


…。


買い物袋をたくさん持って帰宅すると、優と圭介が来ていた。


「あすか、お前宿題終わったのかよ(笑)」


宿題なんか白紙のままだ…。


圭介に言われて一応持ってきていた宿題のことを思い出した。


「やっぱな(笑)教えてやるよ」


私の表情を見て、優が笑って言う。


優に手伝ってもらって、無事夏休みの宿題を終えた。
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