依存~愛しいキミの手~

帰宅

始業式の前日、私はさゆ姉に送ってもらい大量の荷物をもって自宅に帰った。


車から降りれずにいる私を引っ張るように連れて行き、玄関チャイムを鳴らすさゆ姉。


エプロン姿で出てきた母親が、さゆ姉の後ろから顔を出す私に驚いた。


「あ、あすか!?」


その声がリビングまで届いたのか、父親も玄関に走ってきた。


「初めまして。あすかの友達の保護者のような者です。ずっと帰さず申し訳ありませんでした」


さゆ姉が両親に頭を下げる姿を見て、胸が痛んだ。


「あ…いえ、こちらこそお世話になって…。とりあえず上がって下さい」


母親がそう家に招き入れた。


「あすか、ちゃんと言いな」


テーブルを挟み、両親と向かい合わせに座り、さゆ姉が言った。


「…心配かけてごめん…」


ふてりながら小さい声で呟くと、さゆ姉に頭を叩かれた。


「謝る時はちゃんと目見てハッキリ言う!」


「心配かけてごめんなさい」


目を真っ直ぐに見つめて言った私に、驚いた顔を見せる両親。


「あすかも、色々自分なりに考えて反省はしてるみたいなんです。ただ、まだ幼いから素直になれなくて、ずっと帰るきっかけを作れなかったみたいで」


さゆ姉が両親に説明してくれた。


俯く私の手をギュッと握ってくれていたのが、すごく心強かった。


「私も言いすぎたこと反省してるから…。もう心配かけないで」


母親の声が珍しく優しい。


帰ってきた私に対する安心感なのか、さゆ姉がいるから怒鳴れなかっただけなのかは分からない。
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